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“推しの休業”―八乙女光くんが活動休止を発表した2022年1月の記録②「芝居」

私の好きなアイドル、Hey! Say! JUMP八乙女光くん活動休止についての個人的な日記です。①はこちら。

 

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活動休止と共に発表されたのが、4年ぶりの主演舞台『こどもの一生』の降板だった。①は年末から1月22日までの光くんについて書いてきたけど、今回は私にとって『こどもの一生』という舞台のお仕事がどういうものだったのか、光くんとお芝居についての思いを書き殴った。完全に活動休止から話がそれている。愚痴垢の呪詛のような日記になった。

 

★1月25日、舞台の申込締切

 

☆露出の多かった24日週

 

22日、光くんの1人『らじらー!』で、コンサート中止で落ちていた精神が少し安定した。翌週金曜日の28日には光くんが山田涼介くん、知念侑李くんと13年レギュラーを務める『スクール革命』初の全国ゴールデン放送が控えており、24日からの週には番宣でzip、スッキリに出演したり、バゲットで毎日特集を組んでくれたりと大忙しだった。レギュラー番組『ヒルナンデス』レギュラーのほか、『Zの選択』ナレーション、『ケンミンショー』でも、毎日光くんのお仕事にふれることができた1週間だった。

 

2021年、CD発売の「番宣」目的のバラエティ番組は、主に光くんが代表して出演することが多くなり、次第に光くんには番宣というわけではなさそうなタイミングでの単発バラエティの仕事も増えた。単発バラエティは準備が大変そうだとWebでの発言で見受けられたが、充実した日々を送る光くんは楽しそうで、こちらも光くんを週に何度もテレビで見ることができ、本当に楽しかった。1年中ハードディスクの容量を空けるというタスクと向き合った。

 

同時に、4月から始まる光くんの主演舞台『こどもの一生』の申込みが18日から始まり、25日正午に締め切られた。北海道・埼玉のコンサートが中止になったことで、TwitterでJUMP担が「お洋服買おう」「お財布新調しよう」とつぶやいていた。私もインスタで執拗にアピールしてくるAmeri VINTAGEのオンラインショップを何度も訪問しては、手持ちのどんな服に合わせればいいか想像もできないほどオシャレなカーディガンをうっとりと眺めてしまったが、舞台用に資金を取っておかないとと気を引き締めた。

 

☆バラエティか、芝居か

 

『こどもの一生』は実に4年振りの舞台となる。初のストレートプレイであった舞台、『殺風景』が2014年、その次が4年空いて『薔薇と白鳥』、そしてまた4年空いて今回の『こどもの一生』。光くんのファンは、私含め光くんの「演技仕事」に特別な思いを持っている人が多い。今でも、2004年に放送された『3年B組金八先生 第7シリーズ』出の八乙女担は数多く残っているし、この作品は紛れもなく光くんの芸能生活における大きな仕事だったから、光くんにはお芝居をしてほしいと願うファンが多いのだと思う。ちなみに私のおすすめ作品は、2012年に放送された草なぎ剛くん主演ドラマ『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』である。光くんの見せ場もとても多い。あまりに素晴らしいドラマだったため、当時斎藤工くんに担降りしそうになり、舞台やカレンダー握手会に行ってしまったほど魅力的な作品だ。メイキング映像では、工くんと桐山漣くんにいじられる光くんがとっても可愛いので、もし興味のある方がいたらぜひ。

 

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光くんの演技仕事は次第に減っていった。2017年のツアーパンフレットでは「芝居願望を持ったほうがいいのか、バラエティに転がっていったほうがいいのか、一瞬わからなくなった」「でも、あるときロケがすごく楽しくて手応えがあって、バラエティおじさんになろうと決心した」と明かしており、そんなふうに悩んでいたことにも、芝居への道を断とうと決めていたことにもショックを受けた。でも「ゴールを決めることで楽になれた」と言っていたから、何も言えなかった。すぐそばで伊野尾慧くんや有岡大貴くんは、バラエティ番組や情報番組のレギュラーを持ちながら話題作や映画に出演しているのに、なぜそんなふうに考えてしまうのか素朴な疑問だった。そのあたりは10000文字インタビューでも詳しく話しており、有岡くん、髙木雄也くんと共演したドラマ『孤食ロボット』の話が来たときには「なんで俺?お芝居の仕事なら、山田涼介か中島裕翔じゃなくて?」と言っていた。光くんにはどうも「バラエティと芝居をどちらか選ばなければいけない」という思いが強いようで、バラエティを選んだからか「芝居のことは忘れなきゃいけないと思ってた」とまで話していた。でも、少女漫画なら、この後の恋が上手くいくフラグのような台詞だと思う。

 

思えば、光くんにとってお芝居は、いつも2択を強いられるものだったかもしれない。『美男ですね』の撮影が『SUMMARY2011』とドンかぶりし、撮影優先のため、公演の幕が開くまで光くんが『SUMMARY』にいるかどうか分からないというありえないガチャが毎日行われた。幕が開くどころか、車から降りてそのまま慌てて衣装を着て途中の曲からいきなり出てきたこともある。光くんは後に、自分がいなかった日に見に来たファンへ「土下座して謝りたい」と言っていた。『殺風景』と『Live With Me』の期間が重なったときには、「芝居に集中してたから途中にコンサートがあっても切り替わらなくて超大変だった。喉も顔も疲れてたから筋肉を使いたくなくて無表情で踊ってたもん」と言っていた。素直すぎる。私が生で聞くのを楽しみにしていた新曲の光くんパートは、音源で流れて、光くんは口パクすら忘れて口を閉じていた。たまらなく可愛く、こういうところが好きだとじーんとした。これらはバラエティVS芝居の構図ではないものの、バラエティとの両立に同じような葛藤があったことは想像に難くない。

 

☆2018年、『薔薇と白鳥』

 

2018年、髙木くんとW主演での舞台『薔薇と白鳥』が決まった。バラエティおじさんとして生きるという決意を見せていた光くんだが、実はいろんな舞台を見に行って勉強していたと前回の舞台からの4年間を振り返り、めちゃくちゃに張り切っていた。とても、とてもうれしかった。

 

人気演出家のG2さんによるオリジナル作品で、物語はとてもとっつきやすく、面白く、素晴らしい舞台だった。しかし光くんは歯の矯正の調子が悪く、特に自身が演じるクリストファー・マーロウの命日には満足のいく演技ができなかったというWebを更新した。「観に来てくださった方に本当に申し訳ない」「ただただ悔しい」「大好きな演技で自分でつまずいて壁にぶつかって」「毎日噛んだ場所を何度もシャワーを浴びながら叫ぶように繰り返して、なのにまた噛んでしまう悔しさといったらもう」。そうか……と天を仰ぎ、私も光くんの悔しさを噛み締めた。私も命日に観劇していたが、この日に限らず、率直に言って滑舌がかなり厳しい瞬間が結構あった。見ている私も、悔しく感じていた。それでも、光くんの演技はとても輝いて見えた。ただ、クールだったマーロウのキャラクターがまるでヒルナンデスに出演しているかのようなコミカルな方向へアレンジされていったさまは、個人的な好みとは少し違った。これは光くんの判断ではなく、演出のG2さんとの話し合いなどで決めていることではあると思うが、光くんの得意なフィールドにマーロウを連れていったんだなと感じた。それもまた、光くんの豊富な引き出しという財産だと思う。後日『らじらー!』では、矯正器具を途中で自分でバキバキッと剥がしたと話しており、胸が傷んだ。光くんが矯正を始めたのは2014年、2015年頃だったと思うが「矯正をしている」という事実自体、公式に話したのはこのときが最初で最後だった気がする。ゆえになぜ矯正をしたかという理由は明らかになっていないが、当時『ヒルナンデス』で共に火曜レギュラーを務めていたオリエンタルラジオの藤森慎吾さんが、全く別の場所で「ヒルナンデスは食リポとかして口元がアップになるから歯がきれいな方がいい」というニュアンスの話をしていたのをたまたま目にしたことがあり、タイミング的にももしかするとそういう意図もあったのかな、と勝手に推測している。

 

それでも光くんは千秋楽に「雄也も俺もお芝居が好きになった舞台でした。雄也がすごくお芝居を好きになったって言ってくれて、俺はそれが一番嬉しいです」と言ってくれて、私は光くんがお芝居がまた好きになったと言ってくれたことが一番嬉しかった。私の光くん語録の上位に、『美男ですね』クランクアップ時の「好きだった仕事がまた好きになった現場だった」というコメントがある。仕事や芝居への愛を言葉にしてくれる光くんが好きだと改めて思った。

 

一方、共にW主演を務める髙木くんにとって『薔薇と白鳥』は正式なストレートプレイとしては初舞台だったが、ちょっと驚くほどの出来で、私は衝撃を受けた。髙木くんには翌年も、そのまた翌年も、さらに翌年も連続で舞台のお仕事があった。光くんにはなかった。

 

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舞台仕事の「同じ場所に通う」という幸せ

 

☆芝居への思い、消失と復活

 

「なぜ光くんに演技のお仕事をくれないんだ」というヘイトが溜まりながらも、「薔薇と白鳥は、次に繋がるものではなかったのだろうか」「矯正はいつ終わるのだろう」とぐるぐると分かりもしない原因を考える日々が続いた。そんなとき2021年4月の会報で光くんがとうとう演技の仕事をしたいかどうか、今は分からないと言い出した。「いつしかよくわかんなくなってきた」「下っ端なのに生放送仕事でスケジュール調整してもらうのが申し訳ない」「そうまでしてやる意味があるのか」「やりたくても必要なものなのか」。まさか本人が「もうお芝居はいいかな」と思っているなんて夢にも思わず、私は絶望した。いや、芝居自体がというよりは、仕事の調整に思うところがあるという話なので少し違うけど、本当にショックだった。光くんに演技のお仕事を与えない事務所をマークしていたのに、犯人が本人だったパターン。アガサ・クリスティが、実は語り手が犯人だったという作品を出版したとき、それはミステリ小説としてありなのかなしなのかという「フェア・アンフェア論争」が起きたという史実を思い出した。

 

同じタイミングか、光くんはマネージャーから「もう少しやりたいことを口にしたほうがいいよ」と言われたという話をしていて、私は深く頷いた。Hey! Say! JUMPは初期、YESマンの集まりだった。有岡くんの10000字インタビューで語られていた、あるとき「1週間後のタイ公演、中止になったから。じゃあ今日は解散!」とさらっと言われたJUMPが「どういうことですか?」「理由を説明してください」と詰め寄り、JUMPがこんな態度を取ったことは初めてだったからスタッフがびっくりしたという話は、とても好きなエピソードだ。他のグループと比べるとかなり遅かったのではと思うが、少しずつ大人や事務所とちゃんと話すようになり、アイデアを出すようになったJUMPの中には、「こんな仕事がしたい」とはっきり口に出すメンバーや、“プロデュース”を担うメンバーも出てきた。頼もしい。光くんは自分のやりたいことを言葉にしたり、アピールしたりするのが苦手なタイプなのではと思っていたので、演技仕事についてもう少し上手く話し合って、本人の考え方が変わってくれないだろうかと願った。定期的にバズっているりゅうちぇるの「素直にならないと、素直な子に全部持っていかれちゃうよ」という言葉をうちわにして伝えたいとも思った。とてもいい言葉だ。私もこの言葉を見て、上司にやりたい仕事、今思っていることを素直に言おうと心が決まった。芝居の仕事はなかったが、冒頭に書いたように光くんはバラエティに引っ張りだこになっていた。目指していた「バラエティおじさん」まっしぐらだ。『ヒルナンデス』ではキャンプ好きが講じてできた「やおとめの森」というソロコーナーも生まれた。

 

光くんのファンをしていて忘れられない年がある。2014年だ。初のストレート舞台『殺風景』、初の連ドラ主演『ダークシステム~恋の王座決定戦~』、初のラジオドラマ主演『ビストロノザキ』、新たなレギュラーとして『ヒルナンデス』(グループとしては『いただきハイジャンプ』『リトルトーキョーライブ』も)が始まり、「ComeBack…?」の作詞作曲、「コンパスローズ」の作詞でもコンサートに華を添えた。『殺風景』公演時には、初の個人連載「光る日常」を毎日更新してくれた。私は、この輝かしい2014年を超えてくれる年をずっと待っている。さすがに3本も主演を務め、レギュラーバラエティが始まった2014年は超えられないかもしれないが、2021年は「単発バラエティ」というお仕事で、しかも出演するだけじゃなくて大いに爪痕を残せた印象的な番組が多く、私は光くんファンとしてとても幸せな1年を過ごすことができた。

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12月4日の『らじらー!』では、2日に誕生日を迎えた光くんのもとへ、リスナーから31歳で最も力を入れたい仕事は何かという質問が届いた。光くんはなんと「お芝居」と答えてくれた。2021年はバラエティをたくさんやって楽しかった、という前置きをしながらも、前回の舞台から4年経ってしまい、「これ以上空くと気持ち的によろしくない」から、力を入れたいと言ってくれた。

 

光くん自身にもう気持ちがないと思っていたので、飛び上がるほどうれしかった。8カ月前の会報は何だったんだろう、こんなにすぐ気持ちが変わることはあるのか。八乙女担の感想を検索して読んでいると、「演技の仕事をしたい」と言っただけなのに、皆演技仕事が発表されたかのような喜びを見せており、同じ気持ちでいた私は輪をかけて嬉しくなった。

 

☆『こどもの一生』決定

 

そして12月21日、わずか2週間後、主演舞台『こどもの一生』が発表された。まさか『らじらー!』での発言が、すでに舞台が決まったうえでの発言だったとは。演出は、『薔薇と白鳥』と同じG2さんだ。

 

実に4年ぶりの舞台であり、光くんが1人だけで出演したお芝居のお仕事は、2015年の『ドS刑事』以来7年ぶりになる。メンバー7人全員、この7年間で2作以上1人でお芝居のお仕事をしている。光くんが0に対して、全員2作以上。つらい7年間だった。

 

舞台決定コメントで、光くんは「八乙女光という人間に磨きをかけます」と言っていた。舞台を通して素敵な経験をするんだろうな、と思うと最高に嬉しかった。

 

舞台は公演期間が1カ月以上、稽古も少なくとも1カ月はあるはずなので、丸2カ月、光くんは新たなスケジュールを入れにくくなるだろう。レギュラー番組との両立だけでも大変そうだが、今軌道に乗っている「単発バラエティ」は一旦ストップするのだろうか。改めて、光くんが「2択を選ばなければいけない」と考えていた重みを感じ、バラエティが上手くいっているときに、また舞台を選んでくれたことに心から感謝した。

 

1月15日、ヘッドホンをつけて出た宮城公演で、光くんの口から舞台の告知を聞いた。G2さんと再びのタッグということで、「光くんだけがG2さんにハマった」とメンバーは盛り上がり、髙木くんは「クソッ、俺はハマらなかった」「俺も一緒にG2さんの舞台に出たのに」と悔しがってくれた。髙木くんは、3年連続舞台のお仕事が決まっているので、もちろんそういうことではないはずだ。髙木くんはなんて優しい人なんだろうと思った。

 

『こどもの一生』は、東京、大阪で上演後、光くんの地元・宮城で千秋楽を迎える。宮城は水曜日1公演だけという変わったスケジュールだ。光くんが「本当は東京・大阪だけの予定だったが、粋な計らいで、宮城を千秋楽に加えてくれた」とMCで教えてくれた。光くんに舞台を与えてくれるだけでも幸せなことなのに、恐らく採算度外視で、”粋な計らい”までしてくれるなんて! と感激した。神はいた。地元公演とか誕生日公演とか、そういうものは偶然の産物だと思っていたから、エンタメ界の美を感じた。光くんが大事にされていることを知れて、とてもうれしかった。

 

そんなこんなで、『こどもの一生』には特別な思いを持って申し込んだ。東京は、仕事の余裕とチケットが見つかれば、公演中に増やしたい。私はこういうことをするために上京したのだ。大阪では実家に泊まろう、なにわ男子に夢中な母も連れて行こう。宮城公演は夕方だけだから、松島で観光をしてから舞台に行くのもいいかもしれない。昼間には宮城の番組に生出演するのだろうか。せっかくの宮城だしホテルを取って1泊2日で楽しむのもありだ。

 

光くんの舞台が、4年ぶりに見れる。純粋な楽しみはもちろん、光くんに今回の経験でまた「やっぱり演技のお仕事をたくさんしたい」と思ってもらえるんじゃないかという期待も高まっていた。もちろん一番の目的は「演技をしてる光くん」を見ることなのだが、「演技をしたいという光くん」を見るために「演技をしてる光くん」を見るというよく分からないねじれも起きている。この執着が強いほど、人は魂を濁らせて亡霊になっていくんだと思う。私は亡霊にはならない。ずっと暗い髪色だった光くんが『美男ですね』の役作りで初めて金髪になったとき、名古屋ガイシホールの30列目くらいの席で腰を抜かしそうになったが、そのときから私は「長い担当人生、いろんなことがある」と思うようにしている。私の一番の目標は「一秒でも長く、Hey! Say! JUMP八乙女光くんのファンでいること」だ。その最優先の願いを叶えるため、多少思い通りにならないことがあっても、苦しいことがあっても、目を瞑る必要がある。ありのままの光くんの物語をノンフィクションで受け止めなければならない。だから、お芝居の仕事への執着は危険因子ではあるが、バラエティの光くんも本気で愛しているので、ちゃんとバランスを取れているつもりでいる。

 

☆③があればつづく

 

もうこの後の③で書くことはいよいよ光くんの活動休止しか残っていないが、私はまだ光くんが肉声で活動休止に至る経緯を聞かせてくれた『らじらー!』を聞き返すことが怖くてできない。そのため、③は書くかどうか分からない。